高松地方裁判所 平成7年(わ)242号 判決 1995年11月16日
裁判所書記官
小谷三千範
本籍
香川県綾歌郡綾歌町岡田上一二六六番地
住居
香川県坂出市旭町三丁目六番一八号
鳶工事業
俊長孝
昭和一九年一月二四日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官杉山徳明出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年及び罰金一三〇〇万円に処する。
右罰金を完納することがてきないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、香川県坂出市旭町三丁目六番一八号に居住し、同市旭町三丁目五番三号において「鳶協組」の名称で鳶工事業を営むものであるが、所得金額をことさらに過少に記載した内容虚偽の所得税確定申告書を提出して自己の所得税を免れようと企て、
第一 平成三年分の実際所得金額が六二六五万〇七四〇円であったにもかかわらず、平成四年三月九日、同市京町二丁目六番二七号・坂出税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が一三五三万円で、これに対する所得税額が二七七万八八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出して、同年分の正規の所得税額である二六五〇万九〇〇〇円と右申告税額との差額二三七三万〇一二〇〇円を免れ、
第二 平成四年分の実際総所得金額が六一四八万〇二一〇円であったにもかかわらず、平成五年三月一五日、前記坂出税務署において、同税務署長に対し、平成四年分の総所得金額が一四〇〇万円で、これに対する所得税額が二九七万二八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出して、同年分の正規の所得税額である二五九〇万六五〇〇円と右申告税額との差額二二九三万三七〇〇円を免れ、
第三 平成五年分の実際総所得金額が四五五六万九二二六円であったにもかかわらず、平成六年三月四日、前記坂出税務署において、同税務署長に対し、平成五年分の総所得金額が一五〇〇万円で、これに対する所得税額が三三三万七六〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出して、同年分の正規の所得税額である一七九〇万六五〇〇円と右申告税額との差額一四五六万八九〇〇円を免れ、
もって、偽りその他不正の行為により、所得税を免れたものである。
(証拠の標目)
以下の括弧内の「検」で始まる番号は、検察官請求番号を示す。
判示事実の全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書三通
一 被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一二通(検52~63)
一 小谷正春(二通)、内海寛之、三好久義、大西司、松下勉、浅川牧郎、新谷政信、浦田敏幸及び大河内博文の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 捜査報告書、現金調査書、普通預金調査書、定期(定額)預貯金調査書、定期積金調査書、売掛金調査書、受取手形調査書、貸付金調査書、立替金調査書、仮払金調査書、前払金調査書、有価証券調査書、ゴルフ会員権調査書、車両運搬具調査書、土地調査書、事業主貸勘定調査書、借入金調査書、未払金調査書、事業主借勘定調査書、不動産所得調査書、査察官報告書五通
判示第一の事実について
一 脱税額計算書(検2)
一 鎌田直利及び船井孝行の大蔵事務官に対する各質問てん末書
判示第二の事実について
一 雨嶋幸一、山地康夫、瀬尾浩及び黒木恵輔の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 脱税額計算書(検3)
判示第三の事実について
一 山地康夫、俊長啓子(検41)、八田一、堀勝之及び玉井洋三の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 脱税額計算書(検4)
(法令の適用)
被告人の判示第一ないし第三の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するが、各所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑の併科を選択し、以上は平成七年法律第九一号による改正前の刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定き罰金の合算額の範囲内で、被告人を懲役一年及び罰金一三〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 竹野下喜彦)